君に捧げる一途な愛
行ってしまった。
残された私はどうしたらいいんだろう。
本当にご飯を食べに行くのかな。
チラリと視線を向けると、小笠原課長と目が合った。
「晩飯、どうする?」
「えっと……」
どうすると言われても困る。
小笠原課長と一緒に食事なんて機会は二度とない。
だけど、二人きりで食事とか緊張するに決まってる。
なかなか返事ができずにいたら、小笠原課長が口を開く。
「比嘉部長から今日のお礼ってことで食事代を預かっているんだ。さすがに食事に行きませんでしたと言って俺は返せないけど」
どうする、と私にゆだねてくる。
これはもう行くしかないのでは?
「あの、小笠原課長がいいなら」
「じゃあ行こうか。近くに美味い定食屋があるんだ。本当ならイタリアンかフレンチと思ったけど、お互いに服装がこれだからな」
そう言って苦笑いする。
「そうですよね」
「定食屋でいい?」
「はい」
二人とも今日はカジュアルすぎる服装だった。
そんな服装でも気軽に食事できる定食屋さんをチョイスしてくれたんだろう。
「店はここからすぐそばにあるんだけど、車で行く?」
「いえ、近くなら歩きでも大丈夫ですよ」
わざわざ車を出してもらうのは申し訳ない。
「行くか」
私は小笠原課長と並んで歩き出す。
さっきまで啓介くんもいたので、二人だけというのはすごく不思議な気分だ。
他愛もない話をしながら歩いていたら、あっという間に定食屋についた。