君に捧げる一途な愛

「そういえば、この前合コンするって言ってなかった?」

「あー、なんか相手の人数が集まらなかったみたいで合コン自体なくなったんだよね」

博美は残念そうに大きくため息をつく。
積極的に出会いを求めていくバイタリティーはすごいと思う。
私には無理だ。

「志乃は彼氏欲しいとは思わないの?」

「うん」

「えー、何でよ。そんなに可愛いのにもったいないじゃん。前から思ってたんだけど、志乃って全然男の人の話とかしないよね。いったい、どんな人がタイプなの?」

正直に答えたら、あまり聞かれたくない質問をされた。
大学生の時に初めて付き合った人と別れて以来、彼氏という存在はいない。
別れた原因が私の心に暗い影を落とす。

それに、私は博美みたいに彼氏がほしいと強く思う気持ちがそこまでない。
今の状況に満足しているからだと思う。
でも、多くは望まないけど私のことを一途に思ってくれる人と付き合えたらいいなとうっすら考える程度だ。
なかなか、そんな人には出会えていないけど。

それよりタイプか……。
あまり考えたことはなかったけど、ふと私が気になっている人が頭に浮かんだ。

「私は真面目で誠実な人がいいかな」

少し悩み、気になっている人を想像しながら口を開いた。

「なにそのお手本みたいな答え。顔がイケメンの御曹司がいいとかない訳?もっと欲を出せばいいのに」

博美は不服そうな顔をする。
そんな顔をされても困るんだけど。
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