君に捧げる一途な愛

「そんなに見つめられると照れるんだけど。なにか言いたいことでもあるのか?」

「いえ、すみません。目の前に小笠原課長がいるなんて夢でも見ているんじゃないかと思っていたので」

一瞬、小笠原課長は複雑そうな顔になった。
私は何回謝罪をすればいいんだろう。
自分のダメダメさ加減にため息をつきたくなる。
小笠原課長は飲み干したビール缶をテーブルの上に置くと、真っ直ぐに私を見つめてきた。

「夢じゃないよ。なんなら、夢であってほしくない」

「それってどういう……」

夢であってほしくないという意味はなんだろう。
小笠原課長の言葉に困惑する。

「君は俺から連絡がないと気にしていたみたいだな」

突然話題が変わり『へっ?』とおかしな声が出た。
どうしてそれを小笠原課長が知っているの。
もしかして、酔った勢いで話してしまったとか?
口があんぐりと開き、動揺を隠しきれない。

「本当はすぐにでも連絡しようと思っていた。だけど、あまり強引に誘うのもどうかと思い躊躇していた。まあ、それは言い訳で君を誘って断られるのが怖かったんだ」

バツの悪そうな表情を浮かべる。
私は小笠原課長がそんな風に考えていたなんて知らずに、社交辞令だから連絡はないと決めつけていた。
小笠原課長は私を誘ってくれる気があったんだと思ったら嬉しくなった。
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