君に捧げる一途な愛
「木下さん、俺は君のことが好きだ」
時が止まった気がした。
突然の告白に心臓が早鐘を打ち始める。
それこそ、本当に夢でもみているようだ。
「突然で驚くよな。あまり話したこともない他部署の男が何を言っているんだと思うかもしれないが、木下さんのことは比嘉部長から奥さんを通して聞いていた。物流部にいい子が入ってきたと。仕事は真面目でよく気が利くし、進んで大変なピッキング作業もやってくれると感心していたので、どんな子なんだろうと興味を持っていた」
智美さんを介して比嘉部長から私のことを聞いていた?
小笠原課長の口から語られる内容に、ただただ驚くばかりだ。
「シャッフルランチで初めて君に会った時、クルクル表情が変わる面白い子だなと思った。新入社員特有の初々しさに加え、他部署の人との交流に緊張しているのか、ガチガチに固まりながらも必死に会話しようとしている姿に好感が持てた。そうかと思えば、企画部の河野さんと話す時はすごくリラックスしているのか楽しそうに笑顔を浮かべていた。今思えば、その笑顔に惹かれたのかもしれない」
私の顔を見てフッと表情を緩めた。
平凡を絵に描いたような私のことをあんな風に言ってもらえるなんて思わなかった。
じわりじわりと小笠原課長の言葉が胸の中に侵食していき、私の顔が熱を持つ。
こんなの、心臓がいくつあっても足りない。