君に捧げる一途な愛

周りの友達から『断ったらもったいないよ』とか『絶対に付き合うべきだよ』と言われ、私は流されるまま付き合った。
付き合っていくうちに好きになれるんじゃないかと思っていた。

初めてデートした帰り、先輩は家まで車で送ってくれた。
その時、私の一歳年下の妹の茅乃にバッタリ出くわした。

『あれ、お姉ちゃんデート?』
『茅乃……』
『もしかして、志乃ちゃんの妹?』

先輩に聞かれ、私は頷いた。

私は父、母、妹の茅乃の四人家族。
父親は母親の尻に敷かれている、典型的なかかあ天下の家だ。
姉の私は顔も勉強もすべてが平凡。
反対に妹の茅乃は美人で頭がよく、両親の自慢の娘だった。
特に母親は妹の茅乃のことばかり可愛がり、私の扱いは本当に血がつながっているのかと疑いたくなるぐらい雑だった。
私より茅乃を優先する。
参観日は私の教室には来ず、ずっと茅乃が授業を受ける姿を見ていた。

私は幼心に傷ついた。
そんな私をいつもお父さんは気にかけてくれていた。
仕事の合間をぬって参観日など私の行事に顔を出してくれた。
お父さんの優しさにいつも救われていた。

茅乃は私の持っている物を何でも欲しがった。
私が嫌だと言うと、いつも母親に泣きつく。
茅乃は母親が自分のことを一番に可愛がっていることを知っていたからだ。

すべて、自分の思い通りになるように仕向ける。
茅乃は根っからの策士だ。
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