君に捧げる一途な愛
まさか、私の彼氏まで奪うなんて想像もしていなかった。
私は先輩の言葉を受け入れ、別れることにした。
家に帰ってきた私を待っていたのは、口許に笑みを浮かべた茅乃だった。
『ごめんね、お姉ちゃん。本田さんが私の方が好きなんだって。それとね、身体の相性もすごくよかったって言ってたよ』と勝ち誇ったように茅乃は私に告げた。
なにがごめんね、よ。
そんなこと一ミリも思ってないくせに。
私は嫌悪感を覚えた。
私は先輩とキスすらしていなかったのに……。
先輩への信頼もガラガラと崩れ落ち、妹のしたたかさにゾッとした。
先輩のことは、これから好きになれるかなと思っていたので心の傷は浅かったけど、再びトラウマがよみがえってきた。
茅乃が自分の妹だと思うと本当に恐ろしかった。
時がたち、先輩が茅乃と別れたらしいと友達に聞かされた。
もう、私には関係のないことだ。
それを聞いてもなんとも思わなかった。
私は就職したら家から出ようと考えた。
早く茅乃から解放されたかった。
唯一、私の味方の父親に協力してもらい、大学を卒業と同時に一人暮らしを始めた。
ここでも、お父さんが私を守ってくれたことが嬉しかった。
お母さんと茅乃にどこに住んでいるかは絶対に言わないように頼んでいるおかげで、今は平穏に暮らしている。
一通り話し終え、小さく息を吐いた。