君に捧げる一途な愛

シャワーを浴び、髪の毛をドライヤーで乾かした。
いつもなら、ヘアミルクとかつけるけど今日は洗いざらしの髪の毛だ。
髪の毛のまとまりが悪かったので、ハーフアップに結んだ。
スキンケア、歯磨きを済ませて洗面所を出た。

ブカブカのTシャツと短パン。
短パンはずり落ちるので紐でしっかりと結んだ。
貸してもらった服から柔軟剤の優しい香りがする。
小笠原課長の香りか、なんて思っただけでドキドキする。
リビングに戻ると、テーブルの上にあったビール缶と私が使ったグラスが片付けられていた。

「お風呂、ありがとうございました」

「じゃあ、寝るか」

何となしに言われた言葉にドキッとした。
寝る……?
一応、私と小笠原課長は気持ちが通じあったとはいえ、いきなりそんな……。
男性と付き合うこと自体は、小笠原課長が二人目だ。
だけど、先輩とは付き合ってすぐに綾乃の邪魔が入って別れることになった。
私はキスすらしたことがなく、そういうのは全く経験がない。
こういう場合は、何が正解なのかわからない。
ちょっと待って。
よく考えたら、私の下着はコンビニで買ったもので色気の欠片もないって、私はいったい何を考えているんだろう。
不埒なことばかり考えてしまい、浮かれすぎている自分を律する。

「あのさ、百面相していろいろ考えてるところ申し訳ないけど、さすがに今日の今日でどうこうしようと思ってないよ」

「へ?」

「期待していたならごめん」

クスクス笑いながら言われる。
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