君に捧げる一途な愛
「き、期待なんてしてません!」
からかわれた!
恥ずかしさでどうにかなりそうだ。
「そうなのか?少しでも期待してくれてもよかったのに」
もう、いったいどっちなんですか!
小笠原課長って堅物なんかじゃなく、意地悪な部分も持ち合わせている人だ。
この日だけで、いろんな小笠原課長の一面を知れた。
話してみて、会社での噂は本当にあてにならないんだなと思った。
私の話を真剣に聞いてくれ、その上で大切にすると言ってくれた。
小笠原課長の人となりを少しずつ知ることができ、好きという気持ちがどんどん増えていく。
ちゃんと自分の気持ちに素直になってよかったと心から思う。
「正直な話、好きな子がいて気持ちが通じあって柄にもなく浮かれている。俺も男だし、木下さんに触れたいしキスしたいし抱きたいと思っている」
「……っ」
私はその言葉に息を飲んだ。
「でも、それ以上に木下さんを大事にしたい。だから今日はなにもしない」
本当に私のことを大事に思ってくれているのが伝わってくる。
「あと、俺に対して遠慮とか我慢はしないで欲しい」
「えっ?」
「今まで欲しいものとかずっと我慢していたんだろ。今は家族のしがらみがないなら、木下さんを押さえつけているものはなにもない。だから、自分の気持ちに嘘をつくことなく伝えて欲しい。全部受け止めるから」
涙が出るほど小笠原課長の気持ちが嬉しかった。
目を潤ませながら頷けば、小笠原課長は優しく頭を撫でてくれた。