君に捧げる一途な愛
「じゃあ、寝室に行こうか」
促され、私は顔を真っ赤にしながら寝室に行き、ベッドサイドに腰かけた。
小笠原課長はベッドの上に足を伸ばして座っている。
「どうした?そんなところに座っていたら寝れないだろ」
そんなことを言われても、クイーンサイズのベッドで大人二人でも余裕があるとはいえ、さすがに小笠原課長と一緒に寝るのはまずいよなと思い直す。
「あの、やっぱり私はソファで寝るので、小笠原課長がベッドで寝てください」
立ち上がろうとしたら腕を掴まれて身体が後ろに倒れ、小笠原課長に抱きかかえられた。
「わっ」
「なにもしないからおとなしくベッドに寝て」
そう言って、私をベッドに寝かせる。
不意打ちとはいえ、小笠原課長が私の身体に触れた感触が残り、一気に体温が上がる。
私はカチコチに固まったまま仰向けになる。
小笠原課長はなにもしないと言っていたけど、いきなり一緒に寝るとかハードルが高すぎる。
絶対に眠れるわけがない。
隣にいる小笠原課長の一挙手一投足が気になってしまう。
「おやすみ」
低く穏やかな声が聞こえ、私はチラリと視線を向けた。
こちらを見ていた小笠原課長と目が合う。
ドキッと胸が高鳴った。
もしかして、私をじっと見てた?
「お、おやすみなさい」
緊張で声が震えた。
私は天井を見上げ、小さく息をはいた。
小笠原課長と気持ちが通じあったことで心が満たされ、さっきまで寝れないと思っていたのに自然と瞼がおりてくる。
意識が沈む前、私の額になにか温かく柔らかなものが触れた気がした。