君に捧げる一途な愛
木下志乃。
物流部で働いている、七歳年下の女性。
経理部上司の比嘉部長の奥さんの後輩で、彼女の話は何度も耳にしていた。
仕事ぶりも真面目で、努力家だと。
最初の頃はミスをして上司から注意されることがあったみたいだ。
物流部ということもあり、倉庫内にある商品の場所を覚えるのに苦労していたらしい。
自分で分かりやすく配置図を作って覚えていたと聞いたときは驚いた。
彼女の努力する姿勢に好感が持てた。
話を聞いているうちに、どんな女性なんだろうと気になっていた。
木下さんには社内イベントで初めて会った。
数人いた女性のうちの一人。
第一印象は新入社員だったこともあり、メイクも華美ではなく清潔感があり、真面目そうな女性だと思った。
でも、話してみると面白くて可愛らしいというのも追加された。
うちの部署に、木下さんと同期の遠藤さんがいる。
彼女は話好きで社交的な印象だ。
遠藤さんの口から木下さんの名前をよく聞いていた。
聞くつもりはないが、声が大きいので自然と耳に入ってくる。
遠藤さんは、話好きなのはいいが仕事中にも関わらず喋り過ぎている。
何度も注意しているからか、俺のことは煙たがってあまりいい印象を持っていないはずだ。
きっと、遠藤さんは木下さんに俺のことは口うるさい上司とか言っているに違いない。
不本意極まりないが。
それでも木下さんのことを気にしている自分がいた。
彼女を見かけると、無意識のうちに視線を向けていた。
それに気づいた時、この年でこんな感情が芽生えるなんてどうしたものか、と思案していた。