君に捧げる一途な愛
幼少期、ぽっちゃりといえば聞こえがいいが俺は太っていた。
両親が仕事人間で忙しかったこともあり、近所に住んでいた祖父母の家に預けられていた。
孫可愛さにあれもこれも食べろと食事を与えられ、それが美味しいからと全部ペロリと平らげていた。
今考えれば自業自得なのだが、当時は甘い物も好きなだけ食べていた。
太っていた俺は、男女ともにからかわれることが多かった。
この体型で迷惑をかけているわけではないのに、理不尽に悪口を浴びせられる。
徐々に気持ちが滅入り、自分の体型にコンプレックスを抱くようになっていた。
そんな時、親がバスケ経験者ということもあり、地域のミニバスに無理矢理入部させられた。
そのミニバスは県でも強豪のチームでコーチも厳しかった。
軽く運動でもできればいいか、なんて考えは大きな間違いだった。
運動量が半端なく、太っていた俺には何をするにもきつく、何度も挫折しそうになった。
運が良かったのが、チームメイトで俺の体型を見てからかう人がいなかった。
むしろ、あまり動けない俺に対して『頑張れ』と励ましの声をかけてくれていた。
その時のキャプテン、望月幸也がフォローしてくれたおかげでもある。
日々の積み重ねとは本当に大きいもので、自然と体重も減っていった。
物心ついた頃から太っていて気がつかなかったが、元々は運動神経はよかったみたいだった。
俺はバスケ選手として頭角を表し、幸也と共に県の選抜選手として選ばれるまでになっていた。