君に捧げる一途な愛

「そういえば、今週の土曜でいいんですよね?」

「あ、うん。でも、本当にいいの?」

「もちろんです。啓介くん可愛いですし」

「助かるわ。ありがとう、志乃ちゃん」

「とんでもないです。智美さんにはお世話になっていますから」

今週の土曜日は智美さんの結婚記念日だ。
息子がまだ小さいので子育てを優先していて、ちゃんと記念日をお祝いをしていないという話をしていたのを覚えていた。

比嘉夫妻のご両親は離れて暮らしているので、気軽に❝ちょっと出掛けるから預かって❞ということが出来ないと言っていた。
お節介な気がしたけど、智美さんの息子の啓介くんを預かるから二人でお祝いしてくださいと提案してみたんだ。

幸いにも啓介くんとは何回も会っているし、嫌われてないと思うから私は仲良く遊べるはず。

智美さんも最初は申し訳ないって断っていたけど、私がこの時ばかりは強引に押したら『ありがとう』って頷いてくれた。

「夕方まででいいんですか?夜まで預かりますけど」

「うん、大丈夫。あまり遅くなって啓介が駄々をこねてたら面倒だからね。せっかくだから二人きりのデートを楽しませてもらうわ」

嬉しそうに話す智美さん。
いまだに旦那さんとラブラブなんだなというのがうかがえる。

「さて、仕事しましょうか」

智美さんの言葉に「はい」と返事し、まずはメールの確認から始めることにした。
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