君に捧げる一途な愛

ガチャ、と寝室のドアが開く音が聞こえた。
リビングのドアの隙間から木下さんかこっそりと顔を覗かせた。

日付が変わる前に目覚めたのか。
喉が乾いているだろうと思い、冷蔵庫から水のペットボトルを出し、それをグラスに注いで木下さんに渡した。
受け取ると、水を一気に飲み干していた。
まだ、飲むだろうとペットボトルはテーブルに置いた。
 
話の途中、木下さんが俺をじっと見つめてきて、夢じゃないのかと言ってきた。
こんなの夢にしてもらっては困る。

俺は玉砕覚悟、後悔しないよう自分の気持ちを告げた。
木下さんは俺の気持ちは嬉しいといってくれたが、目が不安げに揺れていた。
その理由が知りたくて、『不安なことがあるのか』と口にしていた。
戸惑いながらも、木下さんは話してくれた。
彼女から聞かされた内容は酷いもので、自分の耳を疑った。

母親と妹の存在が木下さんを傷つけた。
母親なのに、どうしてそこまで娘を傷つけるのか理解できなかった。
自分がお腹を痛めて生んだ大切な娘ではないのか?
妹もしたたかで、母親からの愛情を一身に受けているのを理解していての言動なんだろう。
母親と妹は到底許されるものではない。
会ったこともない、木下さんの母親と妹に怒りが込み上げる。
唯一の救いは父親が木下さんのことを大切に思ってくれていたことだ。

木下さんが素敵な女性に育ったのは、父親の愛情のお陰だろう。
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