君に捧げる一途な愛
木下さんが付き合った男も最低だな。
妹に言い寄られたぐらいで、木下さんを振るとか意味が分からない。
本当に木下さんのことが好きだったのか怪しいものだ。
まあ、その男が木下さんに手を出していないことだけは救いだったな。
でも、その男に裏切られたことが、今も彼女の胸の中で嫌な出来事としてくすぶっていることに腹が立つ。
少しでもいいから、その不安を払拭するにはどうしたらいいのか考えた。
俺の言葉で劇的に変わるとは思えない。
だけど、俺はそんな最低な男とは違うというのを木下さんに分かってもらいたかった。
誰よりも大切にするし、絶対に裏切らないと誓える。
だが、言葉では何とでも言えるだろう。
でも、言葉にしないと伝わらないこともある。
俺は誠心誠意、自分の気持ちを伝えると木下さんはそれに応えてくれた。
気持ちが通じあったことが嬉しくて、つい、からかえば顔を真っ赤にして口を尖らせる。
その表情が可愛くて仕方がなかった。
こんなにも庇護欲を掻き立てられる女性に出会ったことがない。
再び、隣で目を閉じて規則正しい寝息を立てている彼女を見る。
誰に告白されても心が動かなかった。
でも、木下さんのことは初めて見た時から心を奪われていたんだと思う。
理屈ではなく、本能で惹かれていたんだろう。
手を伸ばせば触れられる距離に木下さんがいる。
俺は満ち足りた気持ちで眠りについた。