君に捧げる一途な愛
予想外の嫉妬

身じろぎし、ゆっくりと目を開けて自分の視界にうつった人を見て息が止まるかと思った。
目線だけ上を向けると、小笠原課長の整った顔がある。
目は閉じられていて、まだ眠っているみたいだ。

私、小笠原課長と付き合うことになったんだよね。
信じられず、夢でも見ているんじゃないかと思ってしまう。

まだ寝てるし、触ってみたいなという衝動に駆られ恐る恐る手を伸ばす。
いや、ダメだ。
触れるか触れないかのところで手を止めた。

私ったらなにをしているんだろう。
我に帰り、引っ込めようとした手を掴まれた。

「ひっ」

「触りたいなら好きに触ればいい」

そう言って小笠原課長は自分の顔に私の手を押し付けた。
手のひらに小笠原課長の温もりを感じる。
そんなことより!

「お、起きてたんですか?」

「ああ。木下さんがゴソゴソと動き出したから目が覚めた。さっさと触ればいいものを躊躇して止めるから我慢できなくなった。昨日、なにもしないといった手前、俺からは触れなかったからな」

小笠原課長は悪戯に笑い、その表情にドキッとする。
私は恥ずかしさをごまかすように口を開く。

「おはようございます」

「おはよう。よく眠れた?」

「はい。あの小笠原課長は、」

「朝からプライベートで役職で呼ばれるのは仕事を思い出して嫌なんだが」

小笠原課長は私の言葉を遮って言う。
役職で呼ばない方がいいってことだよね。

「小笠原……さん?」

呼んでみたものの、しっくりこず首を傾げる。
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