君に捧げる一途な愛

「寝る前に言ったよな。俺にして欲しいことは我慢しないでって」

小笠原課長の手が私の髪の毛を一束すくい取り、口づけをする。
えっ、あれってそう意味で?

「あのっ……」

「俺はもっと志乃とキスしたいと思っている」

小笠原課長は目を逸らすことなく見つめてくる。
うっ、これは私も言わないとダメな感じ?
こうなったら、照れも恥ずかしさも一切捨てて自分の気持ちを素直に伝えよう。
一度、視線を外して小さく息を吐いた。
ゆっくりと小笠原課長の目を見つめ、口を開いた。

「私もキス……したいです」

私がそんなことを本当に言うとは思わなかったのか、小笠原課長は目を見開いた。
そして嬉しそうに微笑んだ。

「ちゃんと気持ちを伝えてくれてありがとう」

顔を近づけてきて唇が塞がれた。
さっきの触れるだけのものとは違い、何度も角度を変えながら深くなっていく。
小笠原課長の巧みなキスについていくだけで精一杯だ。

「んっ、はぁ……」

息継ぎのために開いた隙間から小笠原課長の熱い舌が口内に入り込んでくる。
口内を探るように動いていた舌が私の引っ込んでいた舌を簡単に絡めとり、吸い上げられた。
粘膜同士が擦れ合う感触に身体が震え、水音が耳の奥で淫らに響く。
私は与えられる甘い刺激に溺れていた。

唇が離れると、私はぼうっとしながら小笠原課長を見上げた。

「志乃、そんな顔しないで。すぐにでも抱きたくなるから」

そう言って視線を逸らす。
心なしか、小笠原課長の耳が赤い気がした。
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