君に捧げる一途な愛
「伝票、経理部に持って行ってきます」
「お願いね」
いつも作成した伝票や書類などを経理部に持っていくのは智美さんがやっている。
今日は一部の商品の納入遅延があり、智美さんはその後処理に追われていたので私が代わりに持っていくように頼まれた。
事務所を出て本社のオフィスビルまでの道のりを歩く。
私がいつもいるのは物流倉庫内の事務所だ。
本社ビルと同じ敷地に物流倉庫があり、『ラブイット』の全種類の商品の在庫を保管している。
うちの商品アイテムは何千種類とあり、さすがにこの倉庫だけで大量に保管するには限界がある。
だから各地にも物流センターがあり、そこから安定的に商品を供給できるようになっている。
広大な敷地には手入れされた花壇もあり、四季折々の花が楽しめる。
今は九月。
ピンクや白、オレンジのコスモスが風に揺られている。
本社に入り、エレベーターに乗って二階のボタンを押す。
ポーンという音が鳴り、扉が開くとエレベーターを降りる。
経理部に着き「失礼します」と声をかけて入った。
すぐに目に飛び込んできたのは私の同期だ。
「あれ、志乃じゃん。どうしたの?」
私に気づいた博美が席を立って近寄ってきた。
私が経理部に足を踏み入れる前、博美が隣に座っていた人とゲラゲラ笑いながら話していた。
前に上司から注意されるって愚痴っていたけど、そういうことをしているからだよ。
ホント、自業自得なくせしてよく文句ばかり言うんだから。