君に捧げる一途な愛

「朝倉ちゃんにって、この子なんだけど」

博美は自分の隣に座っていた子に視線を向ける。
その子は私に向かって小さく頭を下げた。

「街コンとか興味あるかって話を朝倉ちゃんとしてたの」

「仕事中に?」

「まあね。最近、出会いとかないから街コンにでも行ってみようかなと思って朝倉ちゃんに一緒に行こうって誘ってたの」

「私は断ったんですけどね」

朝倉ちゃんと呼ばれた女性は、ため息をつきながらカレーをスプーンですくって口に入れた。

「朝倉ちゃん、彼氏がいないから一緒に行けるかと思ったのに、そういうのは興味ないって一刀両断」

博美は残念そうに言う。
街コンを断られた話と小笠原課長の話はどう繋がっているんだろう。
チラリと、隣の由香を見ると博美の話を聞きたくないのか黙々とカルボナーラを食べていた。

「それで、朝倉ちゃんと誰が一緒に言ってくれそうかなって話していたら志乃がいたわと思って」

「えっ、私?」

「そう。志乃って彼氏欲しくないとか言ってたけど、出会いとかは必要だと思って」

「悪いけど、私も興味ないから行かないよ」

そんなことで私の名前を出さないでほしい。
博美たちは仕事中にその話をしたってことだよね。

「はぁー、やっぱりか。まあ、志乃に振られるのは分かっていたけど。で、本題はここからよ。あの堅物がまた『今は仕事中なので、そんな話は控える様に』って冷たく言い放ったんだよ」

博美は憎々しげに話す。
注意するのは当たり前で、小笠原課長はなにも間違ったことは言ってないと思うんだけど。
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