君に捧げる一途な愛
午後、出荷依頼の書類を手に倉庫に来ていた。
倉庫といっても、ここは第二倉庫だ。
敷地内に倉庫は三ヶ所あり、私がいつもいるのは、第一倉庫内にある事務所だ。
本社の人が来るのは第一倉庫の物流部。
それ以外の倉庫に立ち寄ることはあまりない。
だから、本社の人にとっては倉庫と言えば第一倉庫になっている気がする。
私たち物流部は本社の人から依頼があると、諸々のスケジュールを調整して倉庫担当の人に伝えるという役目がある。
ここの調整をミスれば両者に迷惑がかかってしまうんだ。
「桜井さん、お疲れさまです」
「お疲れさま」
桜井さんは四十代の女性のパートの人だ。
倉庫でピッキング作業をしている人は社員もいるけどパートの人もたくさんいる。
桜井さんは長年勤めているので倉庫内のことは私より詳しい。
「これに書いてある商品を二十五日までに、こんどう屋に配送してもらいたいんですけど」
桜井さんに依頼書を渡していたら、男性の声が倉庫内に響いた。
「あっ、木下さん」
倉庫全体の管理をしている上杉主任だ。
上杉主任は五十代の既婚者。
私と同じぐらいの年齢の子供がいるとかで、よく声をかけてくれている。
「上杉主任、お疲れさまです」
「お疲れさん。今日はどうしたの?」
「出荷依頼書を桜井さんに渡してますので、あとで目を通しておいてください。それとは別に上杉主任に相談があって」
私は顔色をうかがいながら話す。
出荷依頼書はファックスで倉庫の担当者に送ったり、手渡しをすることもある。