祈りの空に 〜風の貴公子と黒白の魔法書
「……俺……」
何度かためらったあと、ナーザは視線を落としたまま、かすかに肩を震わせた。
「じゃあ、俺……俺、このまま生きていっても、いいのかな」
シルフィスは唇をきつく結んだ。が、そんなことおくびにも出さず、もちろんだ、とすぐさま明るく声を上げた。
「もちろんだ。君は他の誰でもない、ナーザだ」
ナーザは尋ねるようにシルフィスを見上げた。シルフィスはそんなナーザに笑んで頷く。
「君は君の人生を生きればいい。他のギルドはまだ君がどこの誰か探している状態だから、最初にここに来るのは『青鷺の宿』の使者だろう。けれど、僕に気を使う必要はまったくないし、他の話も聞いて、考えて、どうするか決めればいい。今まで通り『銀の子猫』のナーザでいるのだって、アリだ。君は自由に未来を選び択ればいいんだ」
半分、自分に言っているような気もしたけれど、ナーザは真剣にシルフィスを見つめ、やがてテーブルに肘をついて両手で額を支えた。
前髪に隠れて顔は見えない。ただ、うん、と喉にからんだ声がこぼれた。
何度かためらったあと、ナーザは視線を落としたまま、かすかに肩を震わせた。
「じゃあ、俺……俺、このまま生きていっても、いいのかな」
シルフィスは唇をきつく結んだ。が、そんなことおくびにも出さず、もちろんだ、とすぐさま明るく声を上げた。
「もちろんだ。君は他の誰でもない、ナーザだ」
ナーザは尋ねるようにシルフィスを見上げた。シルフィスはそんなナーザに笑んで頷く。
「君は君の人生を生きればいい。他のギルドはまだ君がどこの誰か探している状態だから、最初にここに来るのは『青鷺の宿』の使者だろう。けれど、僕に気を使う必要はまったくないし、他の話も聞いて、考えて、どうするか決めればいい。今まで通り『銀の子猫』のナーザでいるのだって、アリだ。君は自由に未来を選び択ればいいんだ」
半分、自分に言っているような気もしたけれど、ナーザは真剣にシルフィスを見つめ、やがてテーブルに肘をついて両手で額を支えた。
前髪に隠れて顔は見えない。ただ、うん、と喉にからんだ声がこぼれた。