祈りの空に 〜風の貴公子と黒白の魔法書
「びっくりした?」
背にしたカウンターの中から、イストが問いかけた。シルフィスは目を閉じ、ひとつ呼吸してから彼女に向き直った。
「はい、すみません、飛頭は、初めてだったので……」
驚きの表情はそのままにした。ここは、当然、驚く場面だ。
イストは笑い含みにシルフィスを見る。カウンターの客席をちょいちょいと指差した。
「時間があるなら、聞いていく? 彼女のこと、話のタネに」
え、と聞き返しそうになった。
無論、聞きたい。が、初対面の相手に、そんな気軽に話すことなのか。それに──。
シルフィスは、ちら、とまだ小さく揺れているドアを見た。ナーザのあとをつけようと思っていたのだ。だが……いや、大丈夫だ。行き先は分かっている。
ナーザは家に帰るのだ。母親の名はユーリー。マクリーンに薬学と占いを学んだ。魔女のユーリーか占い師ユーリーで探せるだろう。
背にしたカウンターの中から、イストが問いかけた。シルフィスは目を閉じ、ひとつ呼吸してから彼女に向き直った。
「はい、すみません、飛頭は、初めてだったので……」
驚きの表情はそのままにした。ここは、当然、驚く場面だ。
イストは笑い含みにシルフィスを見る。カウンターの客席をちょいちょいと指差した。
「時間があるなら、聞いていく? 彼女のこと、話のタネに」
え、と聞き返しそうになった。
無論、聞きたい。が、初対面の相手に、そんな気軽に話すことなのか。それに──。
シルフィスは、ちら、とまだ小さく揺れているドアを見た。ナーザのあとをつけようと思っていたのだ。だが……いや、大丈夫だ。行き先は分かっている。
ナーザは家に帰るのだ。母親の名はユーリー。マクリーンに薬学と占いを学んだ。魔女のユーリーか占い師ユーリーで探せるだろう。