祈りの空に 〜風の貴公子と黒白の魔法書
最初の角を左に曲がろうとしたとき、背後に不穏な気配を感じた。
シルフィスは身を捻り、肩をかすめて伸びたものを左手でつかむ。
捕まえたのは何者かの手首だ。素早く右手を添え、鋭く腰を回転した。巻き込むような投げで相手を地面に倒し、そのまま膝で相手の体を地面に押さえつけたが。
「い……ってー」
シルフィスは青い目を見開いた。押さえた相手の、地面に乱れた金髪、細めた目の金茶の瞳。
ナーザ。
「お見事」
背後から声がした。若い女の声だった。反射的にふり向こうとしたが。
「でも、あなたの負け」
閃くように浮かんだ。──この少年は雷撃を使う。
シルフィスはナーザを捉えていた手を離し飛び退ろうとした。その瞬間、ナーザの手が逆にシルフィスの手首をつかむ。
──やられる。
シルフィスは奥歯を噛みしめた。雷撃を受けた経験はない。が、虎を倒す威力なのだ。
シルフィスは身を捻り、肩をかすめて伸びたものを左手でつかむ。
捕まえたのは何者かの手首だ。素早く右手を添え、鋭く腰を回転した。巻き込むような投げで相手を地面に倒し、そのまま膝で相手の体を地面に押さえつけたが。
「い……ってー」
シルフィスは青い目を見開いた。押さえた相手の、地面に乱れた金髪、細めた目の金茶の瞳。
ナーザ。
「お見事」
背後から声がした。若い女の声だった。反射的にふり向こうとしたが。
「でも、あなたの負け」
閃くように浮かんだ。──この少年は雷撃を使う。
シルフィスはナーザを捉えていた手を離し飛び退ろうとした。その瞬間、ナーザの手が逆にシルフィスの手首をつかむ。
──やられる。
シルフィスは奥歯を噛みしめた。雷撃を受けた経験はない。が、虎を倒す威力なのだ。