モテすぎる男子から、めちゃくちゃ一途に溺愛されています。
Chapter6 「興奮しないみたい」
〈果歩side〉
昨日の美乃里ちゃんの手料理はほんとうまかった。
小さい頃から剛さんのうまい料理食べてたら、舌肥えて料理も上手くなんのかな。
正直、あのクオリティは金とるレベルだ。
やっぱり、血は争えないんだな。
いい意味でも悪い意味でも。
俺の母親は、俺が小さい頃に離婚してからずっと、男をとっかえひっかえしていて。
男がいないと生きていけないような人で、そんな彼女にとって俺はずっと邪魔者でしかなかった。
「……ほ」
それに比べて、美乃里ちゃんの父親である剛さんは、男でひとつで子供3人を育てていて、亡くなった奥さんにほんとうに一途で。
「果歩っ」
「……え、あ、なに?」
自分の席でぼーっと窓の外を眺めていたら、前の席の泰生に声をかけられた。
「なにって……果歩、月本さんとなんかあった?」
「は、なに、いきなり」
机に倒していた上半身を起こす。
「いや、女の子たちが話してるの聞いたからさ。最近、果歩のノリが悪いって」
なにそれ。
仮にそうだとしてなんで美乃里ちゃんの名前が泰生の口から出てくんの。