モテすぎる男子から、めちゃくちゃ一途に溺愛されています。
褒められて嫌な気分はもちろんしない。
でも、変なスイッチ入るからこんなところで触んのやめて欲しい……。
なんて言いたいところだけど。
今はそれよりも、美乃里ちゃんの姿が見えないことが気にかかってしょうがない。
あと2,3分で始まるけど。
まさか、やっぱり着るのが嫌になってバックれたとか……十分その可能性はある……。
入り口のドアに目を向けても、人が来そうな雰囲気はない。
もう参加者は、美乃里ちゃん以外揃っている状態だ。
長テーブルの端の席に座っていた3年の審査員が立ち上がる。
やばい。
始まってしまう。
「はい、ではそろそろ────」
「すみません、月本美乃里ちゃんがまだみたいなので、ちょっと様子見て来てもいいですか?」
とっさにそういえば、先輩が他の審査員の人と顔を見合わせて、目線をこちらに戻した。
「わかりました。もし何かあればすぐに連絡お願いします」
「はいっ」
俺はそう返事をして、会議室を飛び出した。