モテすぎる男子から、めちゃくちゃ一途に溺愛されています。
「おぉ〜勘がいいね、水牧くん」
そう言った先輩が一歩、俺との距離を縮める。
そして、優しく俺の肩に手を置いたかと思えば、その整った顔を俺の耳元に寄せた。
「“美乃里ちゃん“の話」
囁くようにニヤついた声で。
「……っ、」
先輩はいつも、彼女のことを「月本さん」と苗字で呼ぶ。
それなのに、今は強調するかのようにわざとらしく、俺が普段呼ぶみたいに呼んだから。
今の俺にとって美乃里ちゃんがどういう存在なのか湯前先輩に見透かされているみたいな気分になった。
「……じゃあ、単刀直入に言うね」
ゴクン、と生唾を飲み込む。
これを聞いてしまったら、美乃里ちゃんとの関係が終わってしまうという恐怖で。
終わらせると自ら彼女に伝えといて、どこまでも矛盾しすぎている自分に呆れる。