モテすぎる男子から、めちゃくちゃ一途に溺愛されています。
本日何度、女の子たちに声をかけられたかわからない。
さっきはツーショットを撮って欲しいと頼まれた。
そんな反応に、前は何かが満たされていくような感覚があったのに。
今はまったく。
逆に、彼女たちに罪悪感が生まれる。
前の俺なら心の底から喜んで引き受けたはずなのに、今は対応を終えるたびに、ドッと疲れてため息が出そうになる。
ふいに名前を呼ばれたら条件反射のように笑ってしまうのはまだまだ癖で仕方ないけど。
この間、湯前先輩に言われたこともずっと頭の中でぐるぐるしている。
踏み出さないといけないことはわかっているけれど、何をしていいかわからなくて。
勇気を出せたとして、今度こそ強く拒絶されたら。そう思うとさらにためらってしまう。
『自分のここで全部わかった気になって勝手に色々終わらせんなよ』
先輩に言われたセリフをふと思い出す。
勝手に終わらせるな、ね……。
ん?
そろそろ自分の教室に戻ろうかと、渡り廊下を進んでいると、
目線の先に見覚えのある背中が見えた。