モテすぎる男子から、めちゃくちゃ一途に溺愛されています。
たしか、お化け役を買って出たあいつは、頭に斧が刺さっているように見える被り物をしていた。
見間違えるわけがない。
あいつ、泰生が誰かと話しているのが見える。
泰生がちょっと体をずらした瞬間、相手の顔がチラッと見えて。
バチっと音が聞こえたかのようにしっかり目が合った。
「……水牧くん、」
「え?」
彼女の発した声により,泰生がこちらを振りかえった。
「おー、果歩ー」
『おー』じゃねぇよ。
「なんでお前が美乃里ちゃんと話してんのっ」
そう言いながら体は勝手に動いていて、俺はふたりの間に立っていた。
「なんでって……月本さんと話すのに果歩の許可がいんの?」
「……っ、お前は変なこと吹き込みそうだから」
「ふはっ、なにそれー。ね?月本さん。こいつひどいでしょ?」
『ね?』って、さっきまで一体何を話してたんだ。
「言ってやってよ〜果歩より俺の方が話しやすいって」
「……ははっ、そうですね」
まじかよ……。
シンプルに傷ついてる自分がきめぇ。
久しぶりに話せたと思ったら、泰生を通してとか。最悪。