モテすぎる男子から、めちゃくちゃ一途に溺愛されています。
ていうか……。
美乃里ちゃんのその格好はなに。
そんな格好して歩くとか聞いてないんだけど。
そもそもアズコンの参加者は、クラスの出し物に参加しなくてもいいわけで。
それなのに、目の前の彼女は制服ではない、明らかに学園祭用の衣装の格好をしている。
クリーム色のワンピースに、ふわふわで長い茶色のしっぽがついていて。
サラサラの髪には、これまた普通の猫耳よりもサイズの大きなふわふわで茶色の耳。
これは……キツネ、だよな。
「可愛いよね」
「……」
黙ってくれ泰生。
可愛いってレベルのものじゃないから。
こんなの……。
「月本さんのクラス、パンケーキ屋さんなんだって。パンケーキにいろんな動物の絵をチョコペンで描いてくれるらしいよ〜月本さんの友達がめちゃくちゃ描くのうまいって。あ、果歩、今から一緒に行かない?俺、次まで時間あるし───」
まだ泰生が話している途中にも関わらず、俺の体は勝手に動いていた。
「ちょっ、」
「え」
俺の行動にふたりがきょとんとしてしまったのも無理はない。