モテすぎる男子から、めちゃくちゃ一途に溺愛されています。

「水牧くん……何して、」

美乃里ちゃんの手首に手を伸ばして掴んだまま歩き出す。

「泰生とは回らない。ほかあたって」

「……俺のこと振るのか」

しょうもないことを呟く泰生を無視して、美乃里ちゃんの方を見る。

正確には、目なんてまだ合わせられないんだけど。

「ごめん、美乃里ちゃん」

一言彼女にそう言って、俺は歩き出した。




───ガラッ

「っ、ちょっと水牧くん、一体なんのまね……」

「……無理」

「え?」

俺の気持ちなんて何にも伝わっていない、困惑したままの彼女と、空き教室にふたりきり。

ドアを閉めて、教室の中央まで歩いた俺はその場にしゃがみこんだ。

「あの、水牧くん?」

「なんでそんな格好してひとりでふらふら歩いてんの。いつも一緒にいる友達は?今日、外からいろんな人が来てんだよ?」

「……えっ、と、」

急な俺からの質問責めに、美乃里ちゃんはあからさまに戸惑った顔を見せる。

そりゃそうだ。

でも全然止められない。
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