モテすぎる男子から、めちゃくちゃ一途に溺愛されています。

「……長かったような……短かったような」

軽音楽部の演奏を、人混みの一番後ろから眺めて小さくつぶやく。

「ん」

大音量のバンドの音と、みんなの盛り上がる声でかき消されたと思っていたのに。

となりの彼は拾って相づちを打った。

それだけで胸がギュッと締め付けられるのだから重症だ。

……今、言わなきゃ。

水牧くんと関わるきっかけになったアズコンが終わったと言うことは、

自然とこうやって並ぶことがなくなるのに等しい。

だから、どうにかして自分の力で繋ぎ止めないといけない。

もう、楽器から出るものなのか自分の心臓の音から来てるのかもわからない、ドンドンと身体中に響く音。

……伝えなきゃ。

ギュッと拳を握って息を吸ってから。

「あの……っ「あのさっ」」

嘘……。

なんというタイミングだ。
やらかしてしまった。

水牧くんと声が被ってしまう痛恨のミスに、準備していた言葉全部引っ込んでしまう。

目が合うだけでまるで電流が走ったみたいにビビッと身体が反応してしまうのは。

先に見える炎と、夜のせいだと思いたい。
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