モテすぎる男子から、めちゃくちゃ一途に溺愛されています。

「あっ、ごめん、なに?」

「や、私こそごめん。水牧くん、先に……」

「……ん。美乃里ちゃん、これから時間ある?」

「へっ……」

思っても見なかったセリフに言葉が出ない。

「や、無理なら全然いいんだけど」

そう言って目を逸らした水牧くんが後頭部をガシガシとかいたかと思えば、

「……っ、」

もう一つの手をこちらに伸ばしてきて、私の手を握ってきた。

「うそ。全然よくない……です」

ですって。
今まで私に敬語なんて使ったことないのに。

何で急に……。

心拍数が跳ね上がって体中が熱い。
薄暗くてよかった。

こんな顔、見せられないから。

コクンと首だけ縦に振って頷けば「ありがとう」と静かに聞こえて。

彼に手を握られて引かれたまま、歩き出した。
< 265 / 300 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop