モテすぎる男子から、めちゃくちゃ一途に溺愛されています。
「……美乃里ちゃんも」
「はっ、」
こんな時に、なにを言うんだ。
「美乃里ちゃんも、綺麗」
「からかわないでよ」
そう言ってプイッと顔を背ける。
水牧くんはずっとそうだった。
ニッと意地悪に片方の口角だけ上げて笑って、変な冗談をペラペラ言う。
そうだったのに、チラッと横目で彼の顔を確認すれば、今は正反対の優しい顔をしているから。
思わず目を逸らす。
……調子狂うよ。
どうせからかわれてる。
そう自分に言い聞かせながら、さっきのセリフが彼の本心ならいいのにとも思う。
恋って怖すぎる。
こんなことを考えるなんて、自分が自分じゃないみたいだ。
彼と目が合わないようにジッと窓の外だけ見ていたら、
不意に長い指が私の顎を掴んで。
「からかってねぇよ」
「っ、」
強引に目を合わされた。
「柄にもなく、大真面目」
「嘘……」
「俺も嘘だって思いたいけどさ」
私の顎に添えられていた彼の手が下に降りて、私の手首を掴まえると、
その手のひらを、水牧くんの胸に置いた。
……これは、一体。
トクントクントクンと手のひらに伝わる鼓動。
なにこれ……。