モテすぎる男子から、めちゃくちゃ一途に溺愛されています。

本気で向き合うから、自分と同じだけの愛情を求めるから、勝手に期待して、あとで期待に応えられないと苦しくなる。

どうせ傷つくなら、初めから一線引いた適当な関係でいい。

周りに女の子が集まることで自分の承認欲求が満たされていったような感覚。

存在意義を必死に探して。

そんな状態がずっと続いていた。

初めて定食屋『三日月』に入ったのは中2の修了式間近の頃。

行く宛もなくブラブラと歩いている時。

店からものすごくいい匂いがして。

店の外に貼られたおにぎりの写真に足が止まって、そのまま扉に手をかけていた。

『いらっしゃい』

店に入ると、そう声をかけてくれた剛さんと目があって。

中学生という子供がひとりで来るところではない、店内の客層を見てやっと気付いた。

働いた後の大人男の人たちが一日頑張ったご褒美とお酒を嗜んだり、飯を食う場所。
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