モテすぎる男子から、めちゃくちゃ一途に溺愛されています。
とてもじゃないけど俺みたいなフラフラしてる人間の入っていい世界ではない。
恥ずかしい気持ちになって店を出ようとしたら。
『どうぞ』
剛さんがカウンターにお茶を置いてそう言ってくれたので、若干緊張しながら席に座った。
そもそもこう言うところって結構いい値段するんじゃ、俺に払えんのか?とか、座ってから気付いて。
『これ、お品書きね』
渡されたメニューを見て、全体の料金が思ってたより俺の財布に優しくて。
それだけでなんだか目頭が熱くなっていた。
『……若い子が好きそうなハンバーグとかそういうのは……』
『お、おにぎり……』
とっさに出ていた。
控えめに、扉の方を指差して。
『向こうに貼ってあった、おにぎり、ください……』
『はい、かしこまりました』
その時、剛さんがすごく優しく笑ってくれたのを覚えている。