モテすぎる男子から、めちゃくちゃ一途に溺愛されています。

「あれからまだなんの経験もないんでしょ、その様子だと」

「っ、だったらなに……」

「美乃里ちゃんにも、あの時してあげればよかったね」

「意味わかんないっ!」

なにを言っているんだこの人は。
最悪だ。最低だ。

「よかったよー。桜の木の下で熱いキス」

聞きたくない聞きたくない。
他人のそういう話なんて。

いっときの快楽のためだけの、愛なんて微塵もない関係。

「先輩もすっごく上手くてさ〜朝から興奮───っ」

バシンッ

気付けば、私は勢いよく席を立っていて。

目の前には頬を押さえている水牧くんの姿。

そして、私の右手の平がジンジンと熱くなっていた。

「……っ、バッカじゃないの!教室戻るっ」

そう吐き捨てて、机に置かれたエントリーシートを持ってドアの方へ歩き出そうとした瞬間。

不意に手首を強く掴まれて────。

「ちょっ、なにす───っ!!」

唇に、柔らかい何かが当たった。
< 34 / 300 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop