モテすぎる男子から、めちゃくちゃ一途に溺愛されています。
「あれからまだなんの経験もないんでしょ、その様子だと」
「っ、だったらなに……」
「美乃里ちゃんにも、あの時してあげればよかったね」
「意味わかんないっ!」
なにを言っているんだこの人は。
最悪だ。最低だ。
「よかったよー。桜の木の下で熱いキス」
聞きたくない聞きたくない。
他人のそういう話なんて。
いっときの快楽のためだけの、愛なんて微塵もない関係。
「先輩もすっごく上手くてさ〜朝から興奮───っ」
バシンッ
気付けば、私は勢いよく席を立っていて。
目の前には頬を押さえている水牧くんの姿。
そして、私の右手の平がジンジンと熱くなっていた。
「……っ、バッカじゃないの!教室戻るっ」
そう吐き捨てて、机に置かれたエントリーシートを持ってドアの方へ歩き出そうとした瞬間。
不意に手首を強く掴まれて────。
「ちょっ、なにす───っ!!」
唇に、柔らかい何かが当たった。