モテすぎる男子から、めちゃくちゃ一途に溺愛されています。

ありえない。

本当にありえない。

──スッ

仕方なく和室に布団を敷いていると、静かに襖が開けられた。

「……なんか、悪ぃ」

そう言いながら部屋に入ってきたのは、

うちの家のフェイスタオルを肩にかけて、最近パパに買ったばかりのグレーのスウェットに身を包んだ水牧くん。

なんでそれをあんたが着るんだ。

パパが貸したんだろうけど!!

水牧くんのこと信頼しすぎでしょ。

その髪はまだしっとりと濡れていて、普段 学校で見る顔とはちょっと違った。

それに『なんか、悪ぃ』ってなに。
『なんか』って。

そもそも水牧くんが閉店した『三日月』の前でパパと鉢合わせなければこの状況はないわけで。

明らかに水牧くんが原因なのに。

いや、泊まっていけというパパの過度な心配性と強引さが原因というのも否めないけど。っていうかどっちも。
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