モテすぎる男子から、めちゃくちゃ一途に溺愛されています。
「美乃里ちゃん、怒ってる?」
「当たり前でしょ。じゃ、」
怒ってるに決まっている。
人のファーストキスを簡単に奪っておいて、挙句、そんなやつのために布団を敷いているのだから。
最悪な気分だよ。
これ以上口を開いたら、本格的に「帰れ」とかそれ以上のひどいことを言ってしまいそうだから、
急いで部屋を出ようと襖に手をかけた。
「……ありがと。布団」
「っ、」
背中にかけれられた声が、彼の口から聞いたことない掠れた優しい声だったから、一瞬、誰の声だと思ったけど。
ここにいるのは紛れもなく、私と水牧くんのふたりだけで。
お礼とか、絶対言わなそうなのに。
なんなのよ。
でも、騙されないし。
「別に」
振り返らないままそれだけ呟いて、私は部屋を後にした。