モテすぎる男子から、めちゃくちゃ一途に溺愛されています。

「美乃里ちゃん、怒ってる?」

「当たり前でしょ。じゃ、」

怒ってるに決まっている。
人のファーストキスを簡単に奪っておいて、挙句、そんなやつのために布団を敷いているのだから。

最悪な気分だよ。

これ以上口を開いたら、本格的に「帰れ」とかそれ以上のひどいことを言ってしまいそうだから、

急いで部屋を出ようと襖に手をかけた。

「……ありがと。布団」

「っ、」

背中にかけれられた声が、彼の口から聞いたことない掠れた優しい声だったから、一瞬、誰の声だと思ったけど。

ここにいるのは紛れもなく、私と水牧くんのふたりだけで。

お礼とか、絶対言わなそうなのに。
なんなのよ。

でも、騙されないし。

「別に」

振り返らないままそれだけ呟いて、私は部屋を後にした。
< 51 / 300 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop