モテすぎる男子から、めちゃくちゃ一途に溺愛されています。
翌朝。午前5時。
目が覚めてすぐ、いつものように一階へと降り、洗面所で顔を洗って歯を磨いて、キッチンへと急ぐ。
毎日、朝早くから遅くまで働くパパに、ママの代わりとまではいかないけど、
少しでも何かしたいと思って始めた弁当作りは、もうかれこれ今年で4年目に突入した。
慣れるまでは早起きは大変だったけど、今ではこの時間にスッと目を覚ませるぐらいになった。
キッチンに着いて、リビングの奥にある閉められた襖にチラッと目をやって、昨晩のことが夢じゃないことを実感する。
普段、和室の襖は全開で開けられている。
けれど今日は綺麗にしまっていから。
あの中で水牧果歩が寝てるんだ。
朝から憂鬱な気持ちになったけど、昨日の水牧くんのセリフがやけに頭から離れなくて。
『……ありがと』
どんな顔でそう言ったのかわからないけど、
あの声は、学校で見るチャラいプレイボーイな彼でも、私の唇を強引に塞いだ彼でも、パパと話す猫かぶりな彼でもなかったような、そんな気がした。