モテすぎる男子から、めちゃくちゃ一途に溺愛されています。
「うん……っ、ぐ、行きだいっ、果歩とキャンプっ」
「柚巳……」
涙でびちゃびちゃな顔を雑に服の袖でぬぐいながら、
柚巳が水牧くんの膝から立ち上がった。
「果歩とキャンプ行きたいっっ!!今日はがまんするからっ、ね、おねーちゃんっ」
「いや、その……」
「里柚も、里柚もがまんするっ!だから、果歩くんとキャンプ行くっ」
続いて里柚も立ち上がって目に涙を溜めながら言うから、こっちまで泣きそうになる。
惨めだよ。姉である私の言うことは聞かないのに、彼の言うことは一発なんだもん。
どんだけ水牧くんのこと気に入ったのよ。
ずるい。悔しい。
「うん。ふたりともえらいね。本当にありがとう」
水牧くんがふたりを同時に抱きしめてそう言った。