モテすぎる男子から、めちゃくちゃ一途に溺愛されています。

「うん……っ、ぐ、行きだいっ、果歩とキャンプっ」

「柚巳……」

涙でびちゃびちゃな顔を雑に服の袖でぬぐいながら、

柚巳が水牧くんの膝から立ち上がった。

「果歩とキャンプ行きたいっっ!!今日はがまんするからっ、ね、おねーちゃんっ」

「いや、その……」

「里柚も、里柚もがまんするっ!だから、果歩くんとキャンプ行くっ」

続いて里柚も立ち上がって目に涙を溜めながら言うから、こっちまで泣きそうになる。

惨めだよ。姉である私の言うことは聞かないのに、彼の言うことは一発なんだもん。

どんだけ水牧くんのこと気に入ったのよ。
ずるい。悔しい。

「うん。ふたりともえらいね。本当にありがとう」

水牧くんがふたりを同時に抱きしめてそう言った。
< 65 / 300 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop