猫かぶりなカップル
猫かぶりな皮の下

【第5話】猫かぶりな皮の下

最近は神城と一緒に帰ることが多い。



周りの子たちに「気遣わないで2人で帰っていいよ!」と言われるっていうのもあるけど、学校帰りに神城の家に行って柚子ちゃんと遊んだりするんだ。



柚子ちゃんは基本土日に仕事がたくさん入ってて、平日は放課後に仕事があったりなかったり。



今日は柚子ちゃんはお仕事があるらしく遊べないけど、なんとなく神城と一緒に帰る。



最近あたし達、前よりも仲が良い気がする。



「今日ちょっと本屋さん寄りたいんだけど、付き合ってくれない?」

「は? めんどくせえ、1人で行けよ」



前言撤回!



やっぱ相変わらずムカつく!



「いいじゃん! 好きな漫画の発売日なんだけど、あたしそういうのは読まないことになってるからカモフラージュで一緒に来て!」

「なんで俺が行かないといけねえんだよ…」

「いいから行くよ~」



めんどくさがる神城を引っ張って近くの本屋さんに来た。



通り道だからいいじゃんね。



本屋さんには、うちの高校の生徒も何人か。



あたし達に気づいてチラチラと見られているのを感じる。



神城の陰に隠れて、最近ハマってる少年漫画の新刊を手に取った。



「お前も大変だな…」

「うるさいよ」



笑顔を作って小声で話す。



「俺ちょっとあっち見たいんだけど」



そう言う神城に着いていくと、参考書コーナー。



そういえばもうすぐ試験…。



あたしは今回もほとんど勉強しないつもりだけど。



神城は学年一位だもんね。



こういう努力あっての一位か…。



なんかちょっと羨ましいかも。



努力するのって気持ち良いもんね。



あたしは早々に試合放棄しちゃったけど…。



結局神城は参考書を一冊買って2人で本屋さんを出た。
< 34 / 92 >

この作品をシェア

pagetop