猫かぶりなカップル
猫かぶりなカップル

チューチュー

「ママおはよー!」

「んー…あんた朝からテンション高いね…」

「そう~?」



いつも通りの朝。



顔を洗って化粧水をつけて。



カラコンに、薄めのメイクと髪の毛のセット。



朝ご飯を食べようと思ったら、スマホに通知が来た。



『はよ』



奏から。



「ふふっ…」



無意識に笑顔がこぼれて、あたしは昨日のことを思い出す。


--
あたしにキスをした奏は、そうして顔をほんの少しだけ離し、あたしを見た。



突然のことに頭がパニックになってるあたし。



「拒否らなかった」



奏が言った。



「…この距離で拒否れるわけないよ」

「そ。じゃ、もう一回するか?」



そう言ってあたしの反応を見る。



奏が何考えてるのか、意味が分からない。



あたしは顔を横に逸らした。



奏がそんなあたしを見てあたしから顔を離す。



「だって奏、昨日も違う女と遊んでたでしょ? あたしはあんたの遊び相手じゃない!」

「だから、それは…部屋入る前にやっぱりやめて帰るとこだった」

「どういうこと?」



あたしがそう言ったら、奏がため息をついた。



ため息つきたいのはこっちの方だ。



奏は、それからあたしの髪の毛に右手で指を通してあたしのことを見た。



「どんな女見てもいちいちお前と比較しちまうの。くるみだったらこんなこと言わねえなとか、くるみだったらここで怒るだろとか」

「…」

「おかげで女と遊べなくなった。どうしてくれんの?」

「知らないよ、そんなの…」
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