猫かぶりなカップル
猫かぶりと幸せ

お泊まり

今日は奏の家にお泊まり~!



って言っても、奏とお泊まりするわけではない。



あたしの今日のお相手は柚子ちゃん!



奏とお泊まりは…ドキドキしちゃうから無理!



友達とお泊まりは初めてだ。



ていうか、心の底から「友達」って思えるのも柚子ちゃんが初めてなんだけど。



だからめちゃくちゃ楽しみ。



柚子ちゃん、多忙なのにスケジュールを調整して土日を開けてくれた。



日曜日はお昼過ぎに地方でロケが入ってるみたいだけど…。



それはしょうがないです!



前日の夜に用意したお泊まりセットを持って、行き慣れた柚子ちゃんの家へ。



「柚子ちゃーん! 来たよー!」

「くるちゃん! いらっしゃーい!」



ハグし合うあたし達を白い目で見るのは奏。



今日は奏との日じゃなくて柚子ちゃんとの日なんだから邪魔しないでよね!



ハグしながら奏の方をじとっと見ると、奏があたしの腕を引いて柚子ちゃんからあたしを引き離した。



そのまま奏の胸の中へ…って、は?



「俺の」



奏が柚子ちゃんに言った。



一瞬であたしの顔が赤くなる。



「お兄ほんとスケベ!!」

「は!? 今なんもエロいことしてねえよ」

「あたしのくるちゃん取らないで!」

「いつからお前のだよ。俺のだっつーの」



モテモテだ、あたし…。



って、いつまで奏はあたしのこと掴んだままなの!



奏の胸の中からするっと抜けた。



軽く奏ににらまれるあたし。



知らなーい。



「くるちゃん、部屋行こ!」

「行きたーい!」

「お兄は来ちゃダメだよ、女子会だから」



奏がチッと舌打ちした。



奏、あたしのこと、大好きじゃん…。
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