【完】孤独なメイドは執事を独り占めしたい

第一章

孤独なメイド

街から聞こえる国民の声、中庭から聞こえる小鳥のさえずり。窓から差し込む太陽の光。





心地いい陽気の中、ボクはお城の窓を磨いていた。





ボクの名前は、アルマ・ベイカー。一人称はボクだけど、女の子です。



歳は十六。幼い頃からここ、ステラ共和国の国王、オリバー・バトラー様のお城でメイドとして働いています。



両親は生きているかすら分からない。



というのも、ボクは物心ついた時からお城で暮らしていた。



オリバー様に聞いた話だと、ボクは置いていかれたらしい。



そんな両親をボクは特に恨んでいない。ボクはここに居れて幸せだから。




ガシャン



「あっ...。水が...！」



バケツを倒してしまい、床に水が広がった。



アルマは慌てて床を拭き始めた。



「おい。アルマ、お前またやったのか？」



「ルイス様...！」




腕を組んで怒った顔をアルマの前に立っていたのは城の執事のルイス・バトラー。