【完】孤独なメイドは執事を独り占めしたい
「幸せそうに食べるな。見ているこっちまで楽しくなる」







「ボクそんな顔してましたか!?」






「あぁ。それほど美味しかったんだろう。また連れてきてやるよ」






「本当ですか!やったー!」






食事を終えた二人は店を出ようとドアノブに手をかけた。そしたら別の客が外側からドアを開けた。






ルイス様...?






ドアを開けたのはルイス。隣にはアルーシャの姿もあった。






「アルマ!テオ様も...」






「あら〜?アルマ、お兄様とデート?私もなの。ルイスとデート。奇遇ね」







ルイス様と...。ダメだ。アルーシャ様のペースに乗っては。





「まさかアルーシャとルイスに出くわすなんてな。ここの店、俺のお気に入りだったのにお前らに知られるなんて残念だな」





「お兄様も罪な男ね。こんないいお店を隠していたなんて。分かったわ。アルマとデートしたくてここのこと隠してたのね。アルマ、良かったわね。お兄様にとても愛されていて」






言い返したい。黙っているだけなんて辛い。けど、このお店にいる、他のお客様が楽しんでいる雰囲気を壊したくない。







ボクがここで言い返すメリットなんてない。このまま無視して出よう。






テオを手引いて、アルーシャとは一切口をかわさずにお店を出ていった。
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