【完】孤独なメイドは執事を独り占めしたい
フルールはアルマが城で働いていることを知って、初めて出会った時のことを思い出した。





その時フルールはアルマに『幸せ』について問いただしたことがあった。アルマは自分ではなく、ある人の幸せを願っていた。




アルマの話通りなら、その相手は息子であるルイスのことだと考えた。




「急に何を...」




「あなたは他に愛したい人はいないのかと思って。私がここに来る前にね、ある女の子に会ったの。その子は自分より、他の人の幸せを願っている子だったわ。その子とはまた再会してね。でも、あの時見せてくれた笑顔がなくてね」





「それと俺の何の関係が」





「その女の子はあなたも知っている、アルマちゃんよ」




アルマが...?




「何故そうなのか。ルイス、あなたには分かるんじゃないかしら?」




「....分かりません。だいいち、アルマはテオ様と婚約していて、俺と同じ日に結婚します」




「そう。私はこれから夫のところに行くわ。あなたはもう少し、結婚について考えてみなさい。それがあなたにとって、本当の幸せかどうかを....」





フルールは部屋を出て、ジャックのもとへ向かった。部屋に残されたルイスは、母の言葉の意味を考えていた。
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