独占欲強めな御曹司は政略妻のすべてを奪いたい
すべてさらけ出してくれた彼へ、今度は私が胸中を明かす番だ。

「私はもうずっと前から心ごとあなたのものです。あなたを愛しています。それを伝えられなかったのは、あなたが私を好きだと知らず、困らせるだけだと思っていたからです」

政略結婚なのに一方的に気持ちを押しつければ彼の迷惑になると思い、心に秘めた。

「十年前、私はあなたに気づかれないように、いつもあなたを見つめていました。目が合うとドキドキしてしまうから、あなたが私の初恋だから」

透哉さんは目を見開き固まった。

私は彼への想いを噛み締めながら続ける。

「あなたと結婚してから、私はもっとあなたを好きになりました。毎日毎日、今この瞬間も、あなたへの愛情は深まるばかりです。私はあなたの妻にしてもらえて幸せです」

口に出すと止まらなくなった。

それくらい私は彼でいっぱいだ。

「卑怯なことをした俺に怒っていないのか?」

「怒ってなんていません。透哉さんが政略結婚を考えつかなかったら再会すらできなかったのだから、感謝の気持ちしかないです」

私たちはお互いが初恋で、ずっと想い合っていたのだ。

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