独占欲強めな御曹司は政略妻のすべてを奪いたい
「俺が出ても?」

透哉さんに訊かれ、私はうなずいた。

もう彼に隠していることはなにもないし、なにを知られてもよかった。

けれどスマートフォンを手に取った透哉さんは、すぐにそれを私に差し出す。

「琴子の伯父上からのようだ」

「伯父さま?」

私が通話ボタンをタップすると、『琴子かい?』と伯父の明るい声が聞こえた。

『急だが明後日、日本に帰るよ』

どうやら伯父の帰国日が決まったらしい。

『透哉くんにも会えそうかい?』と尋ねられ、私は伯父と電話をつないだまま透哉さんに確認した。透哉さんは快く了承してくれる。

積もる話は会ってからにしようと、伯父は早々に通話を切った。

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