独占欲強めな御曹司は政略妻のすべてを奪いたい
透哉さんに伝えると、彼も伯父の計画は想定外だったようだ。

「妙案だ。それにお母上を動かすのは伯父上しかできなかっただろう。やはり彼に相談してよかったよ」

私も心の底からそう思った。

重くのしかかっていた母の件がひとまず解決し、私たちは幸せな結婚式への道のりをまた一歩進むことができた。


そして母がイタリアに渡った頃、伯父が媒介契約をした不動産会社から屋敷に買い手がついたと連絡があった。

仲介手数料を差し引いても、なんと一億二千万円を受け取れるという。それだけあれば借金を完済し、真崎家にもお金を返せる。

私は迷わずお義父さまとお義母さまに返済を申し出た。

最初はやはり断られたけれど、伯父から事情を説明してもらい、なんとか私の気持ちを汲み取ってもらえた。すべての元凶が母だと知ったお義母さまは私を哀れみ、今まで以上に私を大切にしてくれるようになった。私には心の優しい二人目の母がいてありがたかった。

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