独占欲強めな御曹司は政略妻のすべてを奪いたい
実家を手放したのはつらかったけれど、これでよかったのだ。

私は数日後、食材の買い出しに出かけた帰り道にひとりで元実家へ向かった。

すると屋敷の前には不動産会社が立てた【売家】の看板の上に【売約済】の文字が被せられていて、そこはもう誰かの手に渡ったのだと指し示していた。

それでも父の思い出はこれからも私の心の中にあり続ける。

今までありがとうと屋敷に小さな声でお礼を言い、誰にも気づかれないように一筋だけ涙を流した。




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