独占欲強めな御曹司は政略妻のすべてを奪いたい
あっという間に結婚式は二ヶ月後に迫った。

先月には結婚指輪も届き、式場でのウエディングプランナーとの打ち合わせも大詰めを迎えている。

ゲストの出欠が出揃ったので、まずは席の配置を考えなければいけないけれど、それは透哉さんの両親にお任せした。

あとは私と透哉さんで、料理やドリンク、ウエディングケーキ、装花、ブーケ、引き出物、メモリアルなどを次々決めていく。

確認のために、私は毎回お義母さまへ連絡を入れていた。

するとある日、『ところでウエディングドレスとカラードレスはどうなっているの?』と心配される。

白無垢と色打掛は、お義母さまがオーダーしてくれていた。

贅を尽くした織りと緻密な刺繍、最高級の絹で作られた婚礼和装は、日本の伝統文化を継承する職人の技術を集結させた国宝レベルのものだという。

しかしウエディングドレス二点のオーダーは、玲於奈さんとの一件があってから宙に浮いたままだった。

「早急に決めます」

私はお義母さまにそう返事しながらもあてがなく、顔を曇らせた。

このままでは本当に間に合わなくなってしまう。なんとかしなければいけなかった。


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